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【ダイソー・セリア】100均の将棋盤が導いた知的冒険 – 素人からの将棋人生記

100均の将棋盤が導いた知的冒険 - 素人からの将棋人生記

2022年の夏、私が100均の将棋セットと出会ったのは、全くの偶然でした。当時45歳の私は、コロナ禍で外出が制限され、家で過ごす時間が増えて何か新しい趣味を見つけたいと考えていました。近所のダイソーで日用品を買い物している際、おもちゃコーナーで「将棋セット」を発見しました。折りたたみ式の薄い盤と簡素なプラスチック製の駒がセットになって、たった110円で販売されていました。

正直なところ、将棋については「なんとなくルールは知っている」程度の認識しかありませんでした。子どもの頃にテレビで将棋番組を見たことがある程度で、実際に指したことはほとんどありませんでした。それでも「100円なら失敗してもいいか」という軽い気持ちで購入しました。当時の私には、この小さな決断が人生を大きく変えることになるとは想像もできませんでした。

帰宅してから将棋セットを開けてみると、想像していたよりもしっかりとした作りでした。盤は確かに薄い合板製でしたが、線はきちんと引かれており、駒も軽いながらも文字ははっきりと読めました。「せっかく買ったのだから」と思い、まずはスマートフォンで将棋のルールを調べることから始めました。この時点では、まさか将棋にここまで夢中になるとは思ってもみませんでした。

最初の数日間は、一人で駒の動かし方を覚える練習をしていました。歩兵、香車、桂馬、銀将、金将、角行、飛車、王将それぞれの動き方を頭に叩き込み、実際に盤上で動かしてみました。100均の軽い駒は音もほとんどしないため、夜遅くても家族に迷惑をかけることなく練習できました。この静かな環境が、集中して学習を進める上で意外にメリットになりました。

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独学での基礎固めと最初の感動

将棋のルールを一通り覚えてから、インターネットで将棋の基本戦術について調べ始めました。「居飛車」「振り飛車」「棒銀」「四間飛車」といった用語が次々と出てきて、将棋の奥深さに圧倒されました。YouTubeで初心者向けの将棋講座を見つけて視聴していると、プロ棋士の解説の分かりやすさと将棋への情熱に感動しました。「こんなに深い世界があったのか」と、新しい発見の連続でした。

最初に覚えた戦法は「棒銀戦法」でした。比較的分かりやすい攻め方だったため、100均の将棋盤で何度も一人で手順を確認しました。銀将を2六、3七、2六、1五と進めていく手順を覚え、実際に盤上で再現できた時の喜びは今でも覚えています。「将棋って面白いじゃないか」と思った最初の瞬間でした。安価な道具でも、本格的な学習ができることに驚きました。

将棋アプリをダウンロードして、コンピューターと対戦するようになりました。最初は最弱設定でも全く歯が立ちませんでしたが、負けるたびに「なぜ負けたのか」を考える習慣がつきました。100均の将棋盤でアプリの手順を再現し、じっくりと検討することで少しずつ上達を実感できました。実際の盤と駒を使って検討することで、画面上だけでは気づかない発見が多くありました。

妻からは「最近、将棋ばかりやってるけど大丈夫?」と心配されましたが、「100円の投資でこんなに楽しめるなんてコスパ最高だよ」と答えていました。実際、他の趣味と比べて初期投資が圧倒的に少なく、しかも奥が深いという将棋の魅力を実感していました。毎晩、仕事から帰ると100均の将棋盤を広げて一人研究する時間が、日課として定着しました。

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家族との対戦で広がる楽しさ

将棋の基本を覚えてから約1ヶ月後、高校生の息子に「将棋を教えてみようか」と提案しました。息子は最初「将棋なんて古臭い」と渋っていましたが、「とりあえずルールだけでも覚えてみない?」と勧めると、意外にも興味を示してくれました。100均の将棋セットを囲んで、親子で向かい合って将棋を指すという光景は、なんとも微笑ましいものでした。

息子は若いだけあって覚えが早く、1週間ほどでルールを完全にマスターしました。最初の数局は私が教えながら指していましたが、すぐに本格的な対戦ができるようになりました。負けず嫌いな息子は、私に負けるたびに「もう一局!」と挑んできて、気がつくと毎晩親子将棋大会が開催されるようになりました。これまで会話が少なくなっていた思春期の息子との貴重なコミュニケーション手段になりました。

妻も最初は興味なさそうでしたが、親子で盛り上がっている様子を見て「私にも教えて」と言い出しました。女性で将棋に興味を持つ人は少ないイメージがありましたが、実際に教えてみると論理的思考が得意な妻は将棋の戦術をすぐに理解しました。家族3人で将棋を楽しむようになってから、リビングでの会話が格段に増えました。

「100均の将棋セット一つで、こんなに家族の時間が充実するなんて」と実感しました。テレビゲームやスマートフォンに夢中になりがちだった家族が、一つのテーブルを囲んで真剣に頭を使って戦う時間は、かけがえのないものでした。特に、息子が将棋を通じて集中力や論理的思考力を身につけていく様子を見ると、親として嬉しい気持ちになりました。

地域の将棋クラブとの出会い

家族での将棋が日常になってから半年ほど経った頃、もっと上達したいという気持ちが強くなりました。インターネットで調べると、近所の公民館で「将棋愛好会」が毎週土曜日に開催されていることが分かりました。最初は「初心者が行っても迷惑かも」と躊躇していましたが、思い切って参加してみることにしました。愛用の100均将棋セットを持参して、ドキドキしながら公民館に向かいました。

愛好会のメンバーは60代から80代の方が中心で、私のような中年の新参者を温かく迎えてくれました。「将棋を始めたばかりです」と自己紹介すると、「素晴らしい趣味を始めましたね」「一緒に楽しみましょう」と励ましの言葉をかけてくれました。100均の将棋セットを見て「最近は安くて良い物がありますね」と感心してくれる方もいて、道具に関するコンプレックスは全くありませんでした。

最初の対局では、経験豊富な方に指導将棋をしていただきました。「ここではこう指した方が良いですよ」「この手の狙いは何ですか?」といった具体的なアドバイスをもらいながら指すことで、独学では気づかなかった多くのことを学びました。対局後の感想戦では、なぜその手が良いのか、悪いのかを詳しく教えてもらい、将棋の奥深さを改めて実感しました。

毎週の愛好会が楽しみになり、平日は100均の将棋盤で復習や研究をして、土曜日に実戦で試すというサイクルが確立しました。愛好会のメンバーからは「上達が早いですね」と褒められることも多くなり、将棋への情熱はますます高まりました。年齢を重ねた方々の人生経験と将棋への深い理解に触れることで、将棋以外の人生哲学も学ぶことができました。

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戦法研究と棋力向上への取り組み

愛好会での実戦経験を積むにつれて、もっと体系的に将棋を学びたいという欲求が強くなりました。図書館で将棋の戦法書を借りて読み、100均の将棋盤で実際に盤面を並べながら研究するようになりました。「四間飛車を指しこなす本」「角換わり腰掛け銀研究」など、プロ棋士が書いた専門書を読み込み、理解した内容を盤上で確認しました。

特に夢中になったのは「詰将棋」でした。限られた手数で相手の王将を詰ませる問題を解くことで、終盤力が格段に向上しました。毎日寝る前に詰将棋を3問解くことを日課にし、100均の将棋盤で実際に駒を動かしながら考えました。最初は3手詰めでも苦労していましたが、続けているうちに5手詰め、7手詰めも解けるようになりました。愛好会での対局でも、終盤で逆転勝ちすることが増え、「詰将棋の効果は絶大だ」と実感しました。

定跡の研究も本格的に始めました。「角換わり」「矢倉」「横歩取り」といった基本的な戦型について、それぞれ数冊の定跡書を読み込みました。100均の将棋盤は軽くて扱いやすいため、ベッドの上でも気軽に定跡を並べることができました。重い木製の盤だったらこんなに手軽に研究はできなかったでしょう。プロの実戦譜を並べる際も、この軽量な盤が重宝しました。

インターネット将棋も始めました。24時間いつでも全国の将棋ファンと対戦できる環境は素晴らしく、実力向上に大いに役立ちました。ただし、画面上だけで指すよりも、重要な局面では100均の将棋盤に並べ直して じっくり考える習慣をつけました。この「実盤での検討」が、読みの精度向上に大きく貢献したと思います。

棋譜の記録も丁寧に行うようになりました。愛好会での対局やインターネットでの重要な対局は必ず棋譜を取り、家に帰ってから100均の将棋盤で再現しました。「あの局面でこう指していれば」「相手のこの手の意味が分からなかった」など、一局一局から多くのことを学びました。棋力が向上するにつれて、将棋の奥深さがより一層見えてくるようになりました。

将棋を通じた人間関係の拡大

愛好会での活動が充実してくると、自然と将棋を通じた人間関係が広がっていきました。最初は週1回の愛好会だけでしたが、メンバーの一人から「今度、隣町の将棋大会に一緒に参加しませんか?」と誘われました。「まだまだ初心者なので」と躊躇していましたが、「参加することに意義がある」と背中を押されて、人生初の将棋大会に参加することになりました。

大会当日は、愛用の100均将棋セットを持参しました。会場では立派な木製の盤駒が用意されていましたが、お守り代わりに持って行った私の将棋セットを見て、「最初はそういう盤から始めるものですよね」と声をかけてくれる参加者もいました。結果は予想通り早期敗退でしたが、様々なレベルの愛棋家と交流できて、貴重な経験になりました。

職場でも将棋の話題が増えました。「最近、将棋を始めたんです」と話すと、意外にも複数の同僚から「私も昔やってました」「今でも時々指します」という反応がありました。昼休みに簡単な対局をするために、100均の将棋セットを職場に持参することもありました。軽くてコンパクトな100均セットは、持ち運びに最適で、どこでも将棋を楽しむことができました。

息子の学校でも将棋ブームが起きました。息子が友達に将棋を教えたところ、クラスの数人が興味を持つようになりました。「お父さんの将棋セットを貸して」と言われ、追加で何個か100均の将棋セットを購入しました。息子たちが真剣に将棋を指している姿を見ると、「100円の投資が思わぬ波及効果を生んでいる」と感動しました。

近所の子どもたちにも将棋を教える機会が増えました。「将棋を教えてくれる人がいる」という噂が広まり、休日に何人かの子どもたちが我が家を訪れるようになりました。100均の将棋セットを数個用意して、子どもたちに基本的なルールから教えました。子どもたちの覚えの早さには驚かされ、同時に将棋を教える楽しさも発見しました。

プロ将棋観戦の楽しみと理解の深化

将棋を始めてから1年ほど経った頃、テレビの将棋番組を見る楽しさが格段に増しました。以前は「なんとなく見ている」だけでしたが、基本的な戦法や手筋を理解してからは、プロ棋士の指し手の意味が少しずつ分かるようになりました。解説者の説明を聞きながら、100均の将棋盤で実際に盤面を再現することで、より深く理解できました。

特に印象深かったのは、タイトル戦の中継を見た時のことです。プロ棋士の深い読みと精密な手順に感動し、「自分もいつかこんな将棋が指せるようになりたい」と強く思いました。対局後のインタビューで棋士が語る将棋への情熱や哲学に触れ、将棋が単なるゲームではなく、人生そのものを映す鏡のような存在だと感じました。

将棋雑誌も定期的に読むようになりました。プロの実戦譜を並べる際は、必ず100均の将棋盤を使いました。雑誌の小さな盤面図では見落としてしまう細かい変化も、実際に駒を動かすことで理解が深まりました。特に、プロの考え方や大局観について書かれた記事は、自分の将棋観を形成する上で大いに参考になりました。

YouTubeの将棋チャンネルも頻繁に視聴するようになりました。様々なプロ棋士や将棋系YouTuberが、分かりやすく将棋の魅力を伝えてくれる動画は、上達の大きな助けになりました。動画で紹介される手筋や定跡を、100均の将棋盤で実際に確認する習慣がつき、理論と実践の両面から将棋を学ぶことができました。

100均将棋セットの意外な活用法

長期間使い続けているうちに、100均の将棋セットの意外な活用法を多数発見しました。まず、旅行先での時間つぶしに最適でした。軽量でコンパクトなため、電車や飛行機での移動中でも気軽に詰将棋を解くことができました。ホテルの部屋でも、狭いテーブルで手軽に将棋の研究ができました。重い木製盤では不可能な「どこでも将棋」が実現しました。

入院した際にも大活躍しました。病室のベッドの上で、詰将棋を解いたり定跡を並べたりすることで、退屈な入院生活を有意義に過ごすことができました。音がほとんどしないため、他の患者さんに迷惑をかけることもありませんでした。看護師さんからも「将棋をされるんですね、頭の体操にいいですね」と声をかけられました。

キャンプなどのアウトドア活動でも重宝しました。自然の中で将棋を指すという贅沢な時間を、100円という低コストで実現できました。万が一紛失や破損があっても気にならない価格設定は、アウトドア使用において大きなメリットでした。焚き火を囲みながら家族や友人と将棋を楽しむ時間は、特別な思い出になりました。

プレゼントとしても優秀でした。将棋に興味を持った友人や知人に「とりあえずこれで始めてみて」と気軽に渡すことができました。高価な将棋セットだと相手に負担を感じさせてしまいますが、100均のセットなら「ダメ元で試してみてください」という軽いノリで勧められました。実際に何人かの友人が将棋を始めるきっかけになり、「将棋の布教活動」に貢献しました。

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上達の喜びと挫折の経験

将棋を始めて2年目に入ると、明らかな上達を実感できるようになりました。愛好会では初心者扱いされなくなり、中級者として認められるようになりました。インターネット将棋でも段々と勝率が上がり、「初段」という目標が現実的に見えてきました。しかし、上達とともに将棋の難しさもより深く理解するようになり、「知れば知るほど奥が深い」という将棋の本質を実感しました。

一方で、スランプも経験しました。ある時期、何を指しても上手くいかず、連敗が続いたことがありました。「もしかして将棋の才能がないのかも」と落ち込んだ時期もありましたが、愛好会の先輩から「誰でも通る道だから」と励まされ、基本に立ち返って地道に練習を続けました。100均の将棋盤で詰将棋や基本定跡を復習することで、徐々に調子を取り戻すことができました。

特に印象的だったのは、息子に初めて負けた時のことです。教える立場だった私が教えられる側になったのは複雑な気持ちでしたが、同時に息子の成長を誇らしく思いました。「お父さん、ありがとう。将棋を教えてくれて」と言われた時は、100均の将棋セットを買った判断が間違いではなかったと確信しました。

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