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【ダイソー・セリア】100均のプラスチックワイングラスが教えてくれた、本当の豊かさ

100均のプラスチックワイングラスが教えてくれた、本当の豊かさ

「ワインは良いグラスで飲まなければ意味がない」。そう信じていた私が、ダイソーの110円プラスチックワイングラスに人生を変えられるとは、夢にも思いませんでした。42歳の冬、バカラのクリスタルグラスが割れた日から、私の価値観は少しずつ、でも確実に変わり始めました。これは、プラスチックワイングラスとともに歩んだ2年半の物語です。見栄とプライドを手放し、本当に大切なものに気づくまでの、長い旅の記録です。

割れたバカラと崩れたプライド

私はワイン愛好家でした。いや、正確に言えば「ワイン愛好家を気取っていた」と言うべきでしょう。毎週末、デパートでそこそこ良いワインを買い、バカラのクリスタルグラスで飲む。それが私のささやかな贅沢であり、誇りでした。

リビングのキャビネットには、用途別に揃えたワイングラスが並んでいました。赤ワイン用のボルドーグラス、白ワイン用のシャルドネグラス、スパークリングワイン用のフルートグラス。全てバカラかリーデルの高級品です。合計で20万円以上はかけていました。

「良いワインは良いグラスで」。それが私の信念でした。グラスによってワインの香りと味わいが変わる。だから投資を惜しんではいけない。ワイン雑誌に書いてあったその言葉を、私は宗教のように信じていました。

友人を家に招いた時も、必ずグラスの話をしました。「これ、バカラの限定モデルでね」「このグラスで飲むと、ワインの香りが全く違うんだ」。今思えば、完全にイヤな奴でした。でも当時は、それが洗練された大人の嗜みだと本気で思っていたのです。

その日は、いつものように金曜の夜でした。仕事から帰り、シャワーを浴びて、お気に入りのボルドーグラスを取り出しました。買ったばかりのフランスワインを開けて、グラスに注ごうとした瞬間です。

手が滑りました。グラスが床に落ち、派手な音を立てて割れました。バラバラになったクリスタルの破片が、フローリングに散らばりました。「ああ…」と声が出ました。そのグラスは3万円もしたものでした。

呆然と立ち尽くしていると、ワインボトルを持ったままだった手から、ワインがポタポタと床に垂れてきました。我に返り、慌ててボトルをテーブルに置きました。でも、注ぐグラスがありません。

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他のグラスを出せばいい。そう思いましたが、なぜか足が動きませんでした。大切にしていたグラスが割れたショックと、「たかがグラスで」と自分を笑う気持ちが混ざり合い、その場に座り込んでしまいました。

破片を片付けながら、ふと思いました。「これ、本当に必要だったのかな」と。3万円のグラス。それで飲むワインは、確かに美味しかった。でも、3万円分の価値があったのだろうか。そもそも、私は本当にワインが好きなのだろうか。それとも、高級グラスでワインを飲む自分が好きだったのだろうか。

その夜、私はワインを飲みませんでした。開けたボトルはコルクで閉じて冷蔵庫へ。グラスの破片を全て片付けて、シャワーをもう一度浴びて、早めにベッドに入りました。でも、眠れませんでした。割れたグラスのことではなく、「自分は何のためにワインを飲んでいたのか」という疑問が頭から離れなかったのです。

ダイソーでの出会い

翌朝、休日なのに早く目が覚めました。昨夜の疑問は解決していませんでしたが、「とりあえずグラスを買いに行こう」と思いました。いつもならデパートの食器売り場に行くところですが、その日は気が向かず、散歩がてら近所のダイソーに向かいました。

「替えのグラスを買うまで、安いグラスで代用しよう」。そんな軽い気持ちでした。本格的なグラスは後でデパートで買えばいい。とりあえず今日のワイン用に、適当なグラスがあればいい。

ダイソーの食器コーナーを見て回りました。そして見つけたのが、プラスチック製のワイングラスでした。透明なプラスチックで作られた、ワイングラスの形をした容器。よく見ると「6個入り110円」と書いてあります。

「安っ…」というのが第一印象でした。6個で110円ということは、1個あたり約18円。私が昨夜割ったグラスの1600分の1以下の価格です。手に取ってみると、驚くほど軽く、ペラペラでした。少し力を入れたら簡単に潰れそうです。

「こんなのでワインを飲むなんて」と思いました。プライドが許しませんでした。でも、なぜかカゴに入れている自分がいました。「まあ、代用だし。すぐ買い替えるし」と自分に言い訳しながら、レジに向かいました。

家に帰って、パッケージを開けました。6個のプラスチックワイングラスが出てきました。想像以上に安っぽく、これでワインを飲む気にはなれませんでした。でも、他にグラスがありません。「今日だけだ」と自分に言い聞かせ、プラスチックグラスを手に取りました。

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昨夜開けたワインボトルを冷蔵庫から出し、プラスチックグラスに注ぎました。グラスが薄いため、ワインの赤い色がはっきりと見えます。少し傾けると、グラス自体がしなります。「これは酷いな」と思いながら、恐る恐る口をつけました。

そして、驚きました。普通に美味しいのです。いや、昨夜バカラのグラスで飲もうとしていた時と、味は変わらないように感じました。「あれ?」と思い、もう一口飲みました。やはり、美味しい。香りも十分に感じられます。

「プラスチックのグラスでも、ワインは美味しく飲めるのか」。その発見は、私にとって衝撃的でした。今まで「良いグラスでなければワインの真価は味わえない」と信じていたのに、110円のプラスチックグラスで十分に楽しめている。

ソファに座って、プラスチックグラスを見つめました。安っぽいです。高級感は皆無です。でも、不思議と不快ではありません。むしろ、肩の力が抜けて、リラックスしている自分がいました。「割れても惜しくない」という安心感が、心を軽くしていました。

その日、私はプラスチックグラスで1本のワインを空けました。いつもより美味しく感じたのは、気のせいではないと思います。グラスの価値を気にせず、ただワインそのものを楽しむことができたからです。

プライドとの戦い

翌週、デパートに行きました。バカラのグラスを買い直すつもりでした。でも、売り場に立って、高級グラスを眺めていると、どうしても手が伸びませんでした。「本当にこれが必要なのか?」という疑問が湧いてきます。

店員さんが「何かお探しですか?」と声をかけてきました。「ワイングラスを…」と答えかけて、やめました。「すみません、また来ます」と言って、売り場を離れました。結局、その日は何も買わずに帰りました。

家に帰ると、キッチンのテーブルにプラスチックワイングラスが置いてありました。洗って乾かしておいたものです。そうです、私は使い捨てのはずのプラスチックグラスを洗って、再利用していたのです。

「これで十分じゃないか」と思いました。でも同時に、「これで満足している自分は、レベルが落ちたのではないか」という不安もありました。ワイン愛好家としてのプライドが、プラスチックグラスを受け入れることを拒んでいました。

友人に相談しようかとも思いましたが、やめました。「最近、プラスチックのグラスでワイン飲んでるんだ」なんて言ったら、絶対に笑われるか、心配されるでしょう。今までさんざん高級グラスの話をしていた私が、110円のプラスチックグラス。落差が激しすぎます。

でも、正直に言えば、プラスチックグラスでワインを飲む生活は快適でした。何より、気楽です。割れる心配がないので、ソファに寝転がりながら飲むこともできます。洗うのも簡単で、食洗機に放り込んでおけばいい。そして、何より安い。

ある晩、いつものようにプラスチックグラスでワインを飲んでいると、ふと笑いが込み上げてきました。「俺、何やってるんだろう」と。42歳の独身男性が、一人でプラスチックグラスでワインを飲んでいる。傍から見たら滑稽かもしれません。でも、不思議と幸せでした。

「プライドって、何だろう」と考えました。高級グラスでワインを飲むことが、本当にプライドなのか。それとも、他人にどう見られるかを気にしすぎていただけなのか。プラスチックグラスを手に、長い間考え込みました。

その夜、決めました。「もう、見栄を張るのはやめよう」と。高級グラスを買い直すのはやめて、しばらくプラスチックグラスで過ごしてみよう。それで本当に困ることがあるのか、試してみよう。

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カミングアウト

1ヶ月後、ワイン好きの同僚から「今度の週末、うちでワイン会やらない?」と誘われました。いつもなら喜んで参加するところですが、躊躇しました。「ワイン持ってきてよ」と言われ、「うん、分かった」と答えましたが、心は重かったです。

ワイン会の日、私はワインボトルと、ダイソーのプラスチックワイングラスを持って同僚の家に向かいました。「もし笑われたら、正直に話そう」と覚悟を決めていました。

同僚の家に着くと、すでに何人か集まっていました。みんな高級そうなワインボトルを持ってきています。私もそこそこ良いワインを買いましたが、問題はグラスです。

「あれ、グラス持ってきたの?」と同僚が聞きました。「うん、実は最近これ使ってて…」とダイソーの袋からプラスチックワイングラスを取り出しました。一瞬、場が静まりました。

「えっ、プラスチック?」と誰かが言いました。「うん、バカラのグラス割っちゃって、それから気づいたんだけど、これで十分なんだよね」と私は答えました。正直に、自分の心境の変化を話しました。

予想していた反応とは違いました。笑われることはなく、みんな興味津々で聞いてくれました。「確かに、高級グラスって緊張するよね」「洗うの気を使うし」「それ、いくらだったの?」「110円」「安っ!」

一人の女性が「私も試していい?」と言いました。「もちろん」と渡すと、彼女は自分が持ってきたワインをプラスチックグラスに注いで飲みました。「あ、本当だ。普通に美味しい」と驚いていました。

それをきっかけに、みんながプラスチックグラスを試し始めました。「軽くていいね」「これなら割れても平気だ」「アウトドアに持って行けそう」と、予想外にポジティブな反応でした。

ワイン会は大盛り上がりでした。高級グラスとプラスチックグラスで飲み比べをする人もいました。「正直、そんなに変わらないかも」「いや、やっぱりクリスタルの方が」と意見は分かれましたが、「どっちも楽しめればいいよね」という結論になりました。

帰り際、同僚が「今日は良かったよ。みんな、グラスに気を使わずにワインを楽しめた」と言ってくれました。「次回からは、カジュアルなワイン会にしよう。プラスチックグラスOKで」と提案され、みんなが賛成しました。

家に帰る電車の中で、ホッとしました。カミングアウトは成功でした。誰も私を馬鹿にしませんでした。それどころか、「プラスチックグラスという選択肢」を提示したことで、みんなが気楽にワインを楽しめるようになったのです。

父との時間

数週間後、久しぶりに実家の父から電話がありました。「今度の日曜、暇か?」と聞かれ、「暇だよ」と答えました。「じゃあ、来いよ。久しぶりに飲もう」と言われました。

父は昔から日本酒派でしたが、最近ワインにも興味を持ち始めたと聞いていました。「ワインのこと、色々教えてくれ」と言われていたのを思い出しました。

日曜日、実家を訪れました。父は玄関で出迎えてくれました。75歳になりますが、まだまだ元気です。「おお、来たか。ワイン買ってきたぞ」とリビングに案内されました。

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テーブルには、スーパーで買ったであろう手頃なワインが2本置いてありました。「グラス、どうしようかと思ったんだが、これしかなくてな」と父が取り出したのは、普通の湯呑みでした。

「父さん、いいもの持ってきたよ」と私はバッグからプラスチックワイングラスを取り出しました。「これ、ダイソーで買ったやつなんだけど、十分使えるんだ」。

父は興味深そうにグラスを見ました。「へえ、100均にこんなのがあるのか。最近の100均はすごいな」と感心していました。「軽いし、割れないし、老人にはありがたいな」と笑いました。

プラスチックグラスにワインを注ぎ、父と乾杯しました。「最初は抵抗あったんだけど、使ってみたら気楽で良かったんだよ」と私は話しました。「お前も変わったな」と父は言いました。「昔は、グラスがどうとかうるさかったのに」。

「そうだね。でも、大切なのはグラスじゃなくて、何を飲むか、誰と飲むかなんだって気づいたんだ」と答えました。父は黙ってワインを飲み、「いいこと言うじゃないか」と笑いました。

その日、父と色々な話をしました。昔の話、母のこと、仕事のこと、これからのこと。プラスチックグラスで何杯もワインを飲みながら、時間を忘れて語り合いました。

父が「このグラス、俺にもくれないか」と言いました。「もちろん。次来る時、たくさん持ってくるよ」と答えました。「友達とゲートボールした後、みんなで一杯やるんだが、このグラスなら便利だな」と父は嬉しそうでした。

帰り際、父が「今日は楽しかった。またすぐ来いよ」と言ってくれました。「うん、また来る」と約束しました。バスの中で、「本当に大切なものって何だろう」と考えました。高級グラスではなく、父と過ごす時間。ワインの値段ではなく、一緒に飲む人。プラスチックグラスが、そんな当たり前のことを教えてくれました。

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新しい趣味の発見

プラスチックワイングラスを使い始めて半年が経った頃、新しい楽しみを見つけました。それは「色々な場所でワインを飲む」ことでした。

プラスチックグラスは割れないので、持ち運びが簡単です。公園、川沿い、展望台、海岸…。天気の良い日に、ワインとプラスチックグラスを持って出かけるようになりました。もちろん、飲酒が許可されている場所でのみ、節度を守って楽しみました。

特に気に入ったのは、近所の公園での夕暮れワインです。日が沈む時間帯に、ベンチに座って、プラスチックグラスでワインを飲む。それだけで、心が満たされました。

ある日、公園で一人ワインを飲んでいると、年配の女性に声をかけられました。「素敵ですね。一人でワインなんて」と言われ、「プラスチックグラスだから気軽にできるんです」と答えました。

「私もワイン好きなんですよ」と彼女は言いました。「でも、家で一人で飲むのは寂しくて」。「良かったら、一緒にどうですか?」と私は提案しました。幸い、予備のプラスチックグラスを持っていました。

彼女は驚きましたが、「それじゃあ、お言葉に甘えて」と隣に座りました。プラスチックグラスにワインを注ぎ、二人で夕日を見ながら飲みました。

彼女は70代で、夫を亡くして5年になるそうです。「夫とよくワインを飲んだんです。亡くなってから、一人では飲めなくて」と話してくれました。「でも、今日みたいに、気軽に外で飲めるのもいいですね」と笑顔を見せてくれました。

それから、時々公園でその女性に会うようになりました。お互いワインを持ち寄って、プラスチックグラスで乾杯する。深い話をするわけではありませんが、静かに時間を共有する心地よさがありました。

「このグラス、どこで買えるんですか?」と彼女が聞いたので、「ダイソーです。今度一緒に行きましょうか」と誘いました。後日、一緒にダイソーに行き、彼女も何セットかプラスチックワイングラスを買いました。「これで、いつでも外で飲めますね」と彼女は嬉しそうに言いました。

その出会いをきっかけに、公園での「ワイン友達」が少しずつ増えていきました。一人でプラスチックグラスでワインを飲んでいると、「それいいですね」と声をかけられることが何度かありました。同じように一人でお酒を楽しみたいけれど、家では寂しいという人たち。

いつの間にか、毎週土曜日の夕方、公園で緩やかなワイン会が開かれるようになりました。決まったメンバーはいません。来られる人が来る。飲みたい人が飲む。みんなプラスチックグラスを持参して、ワインをシェアする。ルールは一つだけ。「気楽に楽しむこと」。

高級ワインを持ってくる人もいれば、スーパーの特売ワインを持ってくる人もいました。でも、誰も気にしません。プラスチックグラスという「平等な器」が、変な見栄や競争心を消してくれました。

ある土曜日、いつものように公園に行くと、10人以上の人が集まっていました。「今日は人が多いですね」と言うと、「この集まりの噂を聞いて、来てみました」という新しい顔がいくつもありました。

20代の若者、30代の夫婦、40代の独身女性、50代のサラリーマン、60代の退職者、70代の夫婦…。年齢も立場もバラバラの人たちが、プラスチックグラスを片手に、夕日を見ながら語り合っていました。

「このグラスがなかったら、こんな集まりは生まれなかったでしょうね」と誰かが言いました。本当にその通りでした。もし高級グラスだったら、持ち運びも気を使うし、割れる心配もあるし、そもそも「ワインは室内で静かに飲むもの」という固定観念から抜け出せなかったでしょう。

プラスチックワイングラスは、ワインを「特別なもの」から「日常の楽しみ」に変えてくれました。敷居を下げ、自由にしてくれました。そして、人と人をつなげてくれました。

ダイソーでの再発見

プラスチックワイングラスにすっかり慣れた頃、ダイソーに新しいデザインのプラスチックワイングラスが入荷しているのを見つけました。以前のものより少し厚みがあり、ステムの部分がカラフルなデザインです。ピンク、ブルー、グリーン、イエロー…。

「こんなのもあるのか」と手に取りました。6個入りで110円。相変わらずの驚異的な安さです。色違いで何セットか買いました。家に帰って並べてみると、なんだか楽しい気分になりました。

次の公園でのワイン会に持って行くと、大好評でした。「可愛い!」「色が選べるのいいね」「私は青がいい」とみんなが喜んでくれました。それぞれが自分の色を決めて、その日はカラフルなグラスでの乾杯になりました。

それから、ダイソーに行くたびに食器コーナーをチェックするようになりました。プラスチックワイングラス以外にも、プラスチックのシャンパングラス、ビアグラス、カクテルグラスなど、様々な種類があることを知りました。

季節ごとに新しいデザインが出ることも分かりました。春は桜柄、夏は涼しげな青系、秋は落ち着いた色合い、冬はクリスマスデザイン…。100均がこんなに楽しい場所だったとは、知りませんでした。

以前の私は、デパートの高級食器売り場ばかり見ていました。一つ数万円のグラスを眺めて、「いつかこれを揃えたい」と夢見ていました。でも今は、ダイソーの110円コーナーで新しいデザインを見つける方がワクワクします。

ある日、ダイソーで若いカップルが同じプラスチックワイングラスを見ていました。「これで十分じゃない?」「でも、プラスチックでワインって…」と迷っている様子でした。

「すみません、それ、すごくいいですよ」と私は声をかけました。驚いた顔をされましたが、「もう1年以上使ってますけど、全然問題ないです。むしろ気楽で最高ですよ」と自分の経験を話しました。

「本当ですか? 実は新婚で、ワイングラス買おうと思ってたんですけど、高くて…」と彼らは言いました。「だったら絶対これがおすすめです。割れないし、気軽に使えるし。本当に良いグラスが欲しくなったら、その時買えばいいんですよ」とアドバイスしました。

彼らは顔を見合わせて、「じゃあ、これにしてみます」と何セットかカゴに入れました。「ありがとうございました」と笑顔で去っていく二人を見て、なんだか嬉しくなりました。

かつての私のように、「良いワインには良いグラス」という固定観念に縛られそうになっている人たちに、「そうじゃなくてもいいんだよ」と伝えられた気がしました。

会社での評判

プラスチックワイングラスのことは、職場でも話題になりました。ランチタイムに同僚と雑談していた時、「最近、休日何してるの?」と聞かれたので、公園でのワイン会のことを話しました。

「プラスチックグラスでワイン? 面白そう!」と興味を持ってくれました。写真を見せると、「本当に普通のワイングラスみたいだね」「これなら会社の花見でも使えそう」と盛り上がりました。

数日後、総務の担当者から連絡がありました。「来月の歓送迎会で、外のテラスで立食パーティーをやるんだけど、プラスチックのワイングラスって大量に買える?」と聞かれました。「ダイソーなら大量にありますよ」と答えました。

「実は、ガラスのグラスだと割れるリスクがあって、レンタルも高いし…。プラスチックなら安全だし、安いし、いいなと思って」と担当者は説明してくれました。「一緒に買いに行きましょうか?」と提案すると、喜んで同意してくれました。

後日、担当者と一緒に大型のダイソーに行きました。プラスチックワイングラスを50セット、つまり300個購入しました。それでも5,500円。レンタルグラスの10分の1以下の費用です。

歓送迎会当日、テラスにプラスチックワイングラスが並びました。みんな最初は「プラスチック?」と驚いていましたが、「軽くていい」「落としても割れないから安心」と好評でした。

特に女性社員からの評判が良かったです。「ヒールで立ちっぱなしだから、軽いグラスは助かる」「バッグに当たっても平気」という声が聞かれました。

パーティー後、「これ、持って帰っていい?」と何人もの人が聞いてきました。「どうぞどうぞ」と答えると、多くの人が数個ずつ持ち帰りました。「家でも使ってみます」「キャンプに持って行きたい」と好評でした。

翌日、社内のチャットに「昨日のプラスチックワイングラス、すごく良かった」という書き込みがありました。そこから「私も買いました」「アウトドアに最適」「子供がいても安心」とコメントが続きました。

思わぬ形でプラスチックワイングラスの伝道師になってしまいましたが、悪い気はしませんでした。かつて高級グラスの話ばかりしていた時よりも、ずっと多くの人と楽しさを共有できている気がしました。

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価値観の変化

プラスチックワイングラスを使い始めて1年が経った頃、自分の価値観が大きく変わっていることに気づきました。以前は「良いものを持つこと」が大切だと思っていました。でも今は「楽しく使えること」が一番大切だと感じています。

キャビネットに残っていた高級グラスたちを見る目も変わりました。「いつか使おう」と大切にしまっておいたグラスたち。でも、大切にしすぎて、結局ほとんど使っていませんでした。

「これじゃあ、意味がないな」と思いました。使わない高級品より、毎日使える安いもの。それが私の新しい価値観でした。

思い切って、高級グラスを数個だけ残し、他は売ることにしました。リサイクルショップに持って行くと、予想以上の値段がつきました。バカラとリーデルのグラスは人気があるそうで、合計で8万円ほどになりました。

そのお金で何を買おうかと考えました。以前なら、また別の高級品を買っていたでしょう。でも今は、違うことがしたくなりました。

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