私が100均の接着芯に出会ったのは、35歳の春でした。それまでの私は、「手芸」という言葉とは全く無縁の生活を送っていました。仕事は会計事務所の事務員。数字とパソコンが相手の毎日で、針と糸を持つことなど、学生時代の家庭科以来ありませんでした。そんな私が、なぜ接着芯にハマることになったのか。今振り返ると、それは偶然の連続がもたらした、人生の転機だったように思います。 きっかけは娘の入学準備 すべては娘の小学校入学準備から始まりました。当時6歳の娘が、この春から小学一年生になるということで、学校から持ち物リストが配布されました。そのリストを見た瞬間、私は頭を抱えました。 「上履き入れ」「体操着袋」「給食袋」「ランチョンマット」…手作り推奨と書かれたアイテムがずらりと並んでいました。もちろん既製品でも構わないとは書いてありましたが、周りのママ友たちは「手作りするつもり」と口々に言っていました。 「私にも作れるかな…」不安でいっぱいでしたが、娘が「お母さんが作ってくれたらうれしい」と目を輝かせて言ったのを見て、挑戦してみることにしました。母に電話で相談すると、「まずは生地を買ってきなさい。作り方は教えてあげるから」と言ってくれました。 手芸店での衝撃と挫折 最初に訪れたのは、駅前の大型手芸店でした。広いフロアには色とりどりの生地が並び、見ているだけでワクワクしました。娘の好きなピンク系の花柄を選び、レジに持っていくと、店員さんが「接着芯は必要ですか?」と聞いてきました。 「接着芯?」初めて聞く言葉でした。店員さんは「袋物を作るなら、生地に張りを持たせるために必要ですよ」と説明してくれました。案内されたコーナーには、様々な種類の接着芯が並んでいました。厚手、薄手、ソフト、ハード、片面、両面…。値段を見て驚きました。50cm単位で500円から1000円以上するものまで。 「こんなに高いの…」と思わず呟いてしまいました。生地だけで3000円ほど使っており、接着芯にさらに数千円かけることに躊躇しました。初めての挑戦で失敗するかもしれないのに、材料費だけで5000円以上かかるのは負担でした。 結局その日は、生地だけ購入して帰りました。家に帰ってネットで調べると、接着芯なしで作る方法もあるようでしたが、仕上がりの差は歴然としていました。「でも、初心者だし、まずは接着芯なしで作ってみよう」と決めました。 しかし実際に作り始めると、生地がよれて縫いにくく、何度も針を刺し間違えました。3時間かけて作った上履き入れは、形が歪で、とても人に見せられるものではありませんでした。娘に見せると、「ありがとう」と言ってくれましたが、明らかに残念そうな表情でした。 100均での偶然の発見 翌週末、気分転換に娘と近所のダイソーに買い物に行きました。日用品を買った後、何気なく手芸コーナーを覗いてみました。すると、そこに「接着芯」と書かれたパッケージを発見したのです。 「えっ、100均に接着芯があるの?」手に取ってみると、30cm×50cmのサイズで110円。手芸店で見た高価な接着芯と比べると、サイズは小さめですが、初心者の練習用としては十分でした。種類は限られていましたが、薄手タイプと厚手タイプがありました。 「これなら失敗しても惜しくない」と思い、両方のタイプを3枚ずつ購入しました。合計660円。この買い物が、私の手芸人生を変える第一歩になるとは、その時は思いもしませんでした。 家に帰って早速試してみることにしました。パッケージの裏には簡単な使い方が書いてありました。「生地の裏側に接着芯を置き、中温のアイロンで10秒程度押し当てる」。シンプルな説明でしたが、初めての作業にドキドキしました。 … 【ダイソー・セリア】100均の接着芯との出会いと、手芸への目覚めの記録Read more
