贈り物手帖

第7回:鮎は塩焼きだけじゃない

~~旅・バイク・酒好きの元教員が語る旅日記シリーズ(3)~~

清川千歳

宮崎県と大分県の県境(高千穂峡で有名な宮崎県西臼杵郡高千穂町と大分県竹田市・豊後大野市にまたがる祖母山)が源流の大野川。阿蘇にもまた源流があり、それらの集まった流れが鮎漁と鮎釣りが盛んな大野川の流れをつくっている。大野川は臼杵市から大分市に続き、別府湾に流れ着く。

鮎を使った珍味に「うるか」というものがある。簡単にいうと「鮎の塩辛」。とにもかくにも美味いの一言。うるか特有の匂い、風味は焼酎好きの私にはたまらない。

一般的なものは「切込みうるか」と言う。作り方は、鮎の内臓と頭を取り除き、残りを皮の粘りはそのままに、骨ごと輪切りにする。粘りが強い鮎ほど美味しい。切り身に塩を入れながらすり鉢ですり、竹の箸でかき混ぜながら一週間程度熟成させる。三ヶ月以上熟成させるものもあるが、熟成期間が長いほど風味が強くなる。

ただ、私が好きなのは内臓だけを使った少々苦目の「苦うるか」。昨今は希少でなかなか手に入らないのが残念だ。

鮎が有名な地ではどこでも作られているようだが、九州では大分県豊後大野市の大野川流域、大分県日田市の三隈川流域、熊本県の球磨川流域の「うるか」が有名である。全国的には岐阜県や島根県も有名なようだ。

珍味「鮎のうるか」