Posted in

【ダイソー・セリア】100均のネクタイが変えた、私の「価値観」と「自信」の物語

100均のネクタイが変えた、私の「価値観」と「自信」の物語

100均でネクタイを初めて買ったのは、今から5年前、新社会人として入社した直後のことでした。当時の私は、「100均のネクタイなんて恥ずかしくて使えない」と思っていました。しかし、追い詰められた状況が私を100均に向かわせ、その小さな決断が、私の価値観、経済感覚、そして人生そのものを大きく変えることになるとは、夢にも思っていませんでした。この110円のネクタイは、私にとって単なる服飾品ではなく、自立と成長の象徴となったのです。

新社会人の金銭的苦境

大学を卒業し、地方の中堅IT企業に就職した私は、希望に満ちていました。しかし、現実はすぐに厳しさを見せてくれました。

初任給は手取りで18万円。家賃6万円のアパート、光熱費、食費、通信費、奨学金の返済を差し引くと、手元に残るのはわずか数万円でした。大学時代のアルバイト貯金は、引っ越し費用や家具の購入であっという間に底をつきました。

入社時に慌てて購入したスーツは量販店の安いもの2着で、ネクタイは就職活動で使っていた紺色の地味なものが2本だけ。先輩社会人からは「ネクタイは最低5本は持っていないと、印象が悪い」と言われていましたが、デパートや専門店で売られているネクタイは一本3,000円から5,000円。私にとっては、とても手が出せる金額ではありませんでした。

「何とか給料日まで今あるネクタイで乗り切ろう」と思っていた矢先、事件は起こりました。

 ネクタイ 100均

運命の朝

入社3週目の月曜日の朝、私は最悪の状況に直面しました。

前日の夕食で食べたカレーが、干していたネクタイに跳ねていたのです。気づいたのは、まさに家を出ようとしていた時でした。時計を見ると、出勤まで残り20分。もう一本のネクタイは金曜日に汚してしまい、週末にクリーニングに出していました。

「どうしよう」パニックになりながら、必死で汚れを拭き取ろうとしましたが、黄色いシミは頑固に残りました。「このまま行くしかない」と諦めかけた時、ふと通勤路の途中に100均があることを思い出しました。

「100均にネクタイなんて売ってるのか?」半信半疑でしたが、他に選択肢はありませんでした。アパートを飛び出し、駅に向かう途中のダイソーに駆け込みました。開店直後の店内を必死で探し回ると、文具コーナーの近くに「紳士用品」のコーナーを発見。そこには、信じられないことに、ネクタイが並んでいたのです。

 ネクタイ daiso

初めての100均ネクタイ

時間がなかった私は、深く考える余裕もなく、ネイビーのストライプ柄のネクタイを手に取り、レジに向かいました。110円。驚くほど安い価格でした。

「こんな安物、すぐに壊れるんじゃないか」「同僚に笑われるんじゃないか」という不安はありましたが、背に腹は代えられません。会社のトイレで慌ててネクタイを締めた私は、鏡を見て驚きました。

予想外に、悪くないのです。

もちろん、近くで見れば生地の質感や縫製の粗さは分かります。しかし、少し離れて見れば、それなりにちゃんとしたネクタイに見えました。少なくとも、カレーのシミがついたネクタイよりは遥かにマシでした。

その日一日、私は戦々恐々としていました。「誰かに100均のネクタイだと気づかれるんじゃないか」という恐怖で、なるべく人と近づかないようにしていました。しかし、杞憂でした。誰も私のネクタイに注目しませんでした。いや、正確には、上司から「そのネクタイ、前と違うね。明るい印象で良いじゃないか」と声をかけられたのです。

その瞬間、私の中で何かが変わりました。

 ネクタイ セリア

価値観の転換

その日の帰り道、私は再び同じダイソーに寄りました。今度は時間をかけて、ネクタイコーナーをじっくりと見て回りました。

ストライプ、ドット、無地、チェック。色も柄も、予想以上に豊富でした。全部で15種類ほどあったでしょうか。「これが全部110円」という事実が、まだ信じられませんでした。

その日、私は5本のネクタイを買いました。合計550円。デパートで一本買う金額で、5本も買えたのです。この時、私は重要なことに気づきました。

「高いものが必ずしも良いとは限らない。大切なのは、自分の状況に合った選択をすることだ」

大学時代から、私は「安物買いの銭失い」という言葉を信じ、できるだけ良いものを買おうとしていました。しかし、それは十分な収入がある人の論理だったのです。新社会人の私にとっては、110円のネクタイで十分だったし、それで問題なく仕事ができることを、実体験が証明してくれました。

セリア ネクタイ

同僚との会話

100均ネクタイを使い始めて2週間ほど経った頃、同期の田中が話しかけてきました。

「最近ネクタイ変わったよね。どこで買ってるの?」

私は一瞬躊躇しましたが、正直に答えることにしました。

「実は、100均なんだ」

田中の目が丸くなりました。「え、マジで?100均にネクタイなんて売ってるの?」

「売ってるよ。110円で、けっこう種類もある」

その日の昼休み、田中は私を含めた同期3人を連れて、例のダイソーに向かいました。みんな「100均のネクタイ」という概念に驚きながらも、興味津々でした。

結局、3人とも数本ずつネクタイを購入しました。同期の山田は「親に買ってもらったネクタイが1本5,000円もしたのに、こんなに安く買えるなんて」と感動していました。

この出来事をきっかけに、私たち新入社員の間で「100均ネクタイ」が話題になりました。先輩社員の中には「若いうちから安物ばかり使ってると、質の良し悪しが分からなくなるぞ」と忠告してくれる人もいましたが、多くの先輩は「賢い選択だね」と肯定的でした。

特に印象的だったのは、入社10年目の佐藤先輩の言葉でした。

「俺も新人の頃は無理して高いネクタイ買ってたけど、結局汚したり、流行が変わったりで使わなくなるんだよね。100均で十分っていうのは、賢い選択だと思うよ。その分、自己投資に回せばいい」

この言葉は、私の選択が間違っていなかったと確信させてくれました。

ネクタイ 100均

100均ネクタイの実用性

100均ネクタイを1年間使い続けて、その実用性を十分に理解しました。

メリットは数多くありました。

まず、気兼ねなく使えること。高価なネクタイだと、汚れや傷を気にして神経を使いますが、110円なら気楽です。実際、ランチ中に汚してしまった時も、「まあ、110円だし」と思えば精神的ダメージはほとんどありません。

次に、バリエーションを増やせること。同じ金額で、高級ネクタイ1本より100均ネクタイ10本以上買えます。毎日違うネクタイをつけることができ、「またあのネクタイか」と思われることもありません。

さらに、季節や気分で気軽に変えられること。春には明るい色、夏には涼しげな色、秋には落ち着いた色と、季節感を演出できます。高価なネクタイでは、そうそう買い替えられません。

関連記事  【保存版】ヘリウムガスはどこで買える?ダイソー・ドンキ・ホームセンターを駆けずり回った私の完全レビュー

加えて、冒険できること。普段は選ばないような色や柄も、110円なら試せます。意外と似合うことに気づいたり、新しい自分を発見したりできました。

デメリットももちろんありました。

耐久性は、やはり高級品には劣ります。週に2〜3回使うと、3〜4ヶ月で生地がほつれたり、色褪せたりすることがありました。しかし、110円で3ヶ月使えれば十分コスパは良いと感じました。

生地の質感も、高級品とは明らかに違います。シルクの光沢や柔らかさは、ポリエステル製の100均ネクタイでは再現できません。しかし、日常業務では特に問題になりませんでした。

結び目の形が若干作りにくいことも

ありました。生地が硬めで滑りが悪いため、きれいな結び目を作るのに少しコツが必要でした。しかし、これも慣れの問題で、2週間もすれば上手に結べるようになりました。

重要なのは、これらのデメリットを理解した上で、「自分の状況ではこれで十分」と判断できることでした。

ネクタイコレクションの拡大

1年目の冬のボーナスが出た時、私は15本の100均ネクタイを一気に購入しました。合計1,650円。それでもお釣りが来る金額です。

この時点で、私のネクタイコレクションは20本を超えていました。ストライプ、ドット、チェック、無地、ペイズリー風。色も赤、青、緑、グレー、茶色と多彩です。曜日によって、気分によって、着ていくスーツによって、自由に選べるようになりました。

毎朝のネクタイ選びが、楽しみの一つになっていました。「今日は大事なプレゼンがあるから、落ち着いた紺のストライプにしよう」「金曜日だから、少し明るいドット柄で」といった具合に、ネクタイ選びが一日の気分を作るようになったのです。

同期の田中は、私のネクタイの多さに驚き、「お前、何本持ってるんだよ」と笑いました。しかし、その笑いには羨望も含まれていることが分かりました。実際、田中も次第にネクタイの本数を増やしていきました。

興味深かったのは、100均ネクタイを使っていることを隠す必要がなくなったことです。最初は恥ずかしくて言えませんでしたが、今では「これ100均なんだよ」と堂々と言えるようになりました。むしろ、「100均でこんなに良いネクタイが買えるんだ」という驚きを与えることに、ちょっとした優越感すら感じるようになっていました。

100均以外との比較

2年目に入った頃、私は少し余裕ができたこともあり、デパートで3,000円のネクタイを1本買ってみました。100均ネクタイとの違いを確かめたかったのです。

確かに違いはありました。

生地の質感は明らかに上質で、手触りが柔らかく、光沢も美しい。結び目も作りやすく、崩れにくい。重みがあり、高級感が漂っています。

しかし、実際に仕事で使ってみると、私が期待したほどの差は感じませんでした。確かに自分では「良いネクタイだな」と感じましたが、周りの反応は100均ネクタイの時と変わりませんでした。上司も同僚も、私が3,000円のネクタイをしていることに気づきもしませんでした。

この経験から、私は重要な教訓を得ました。「自己満足のためだけに高価なものを買うのではなく、実用性とコストパフォーマンスを考えて選ぶべきだ」ということです。

もちろん、重要な商談や冠婚葬祭など、「ここぞ」という時には質の良いネクタイを使う価値はあるでしょう。しかし、日常業務では、100均ネクタイで十分だと確信しました。

その3,000円のネクタイは、今でも大切に保管していて、本当に大事な場面でだけ使っています。年に3〜4回程度でしょうか。一方、100均ネクタイは毎日の仕事を支えてくれる「相棒」として、酷使しています。

経済観念の変化

100均ネクタイとの出会いは、私の経済観念全体を変えました。

それまでの私は、「安いものは恥ずかしい」「見栄を張るためにはお金を使うべきだ」という価値観を持っていました。しかし、100均ネクタイの経験を通じて、「本当に価値のあるものにお金を使う」という考え方にシフトしました。

ネクタイで浮いたお金を、私は自己投資に回すようになりました。IT関連の資格取得のための書籍や講座、業務に役立つツール、健康のためのジム会費など。これらは、見栄を張るためのネクタイよりも、遥かに私の成長に貢献してくれました。

また、「本当に必要なものか」を常に考えるようになりました。衝動買いが減り、計画的な支出ができるようになりました。結果として、2年目の終わりには、念願だった海外旅行に行けるだけの貯金もできました。

100均ネクタイは、私に「賢い消費者」になるための第一歩を教えてくれたのです。

後輩へのアドバイス

3年目になると、私も後輩を指導する立場になりました。新入社員の鈴木が、高価なネクタイを何本も持っていることを自慢げに話しているのを聞いた時、私は自分の経験を話すことにしました。

「鈴木くん、そのネクタイ、全部でいくらくらいしたの?」

「えっと、全部で3万円くらいですかね」

「それだけあれば、100均なら270本買えるね」

鈴木は驚いた顔をしました。「100均にネクタイなんてあるんですか?」

私は自分のネクタイを指して言いました。「これ、実は100均なんだ」

鈴木の目が点になりました。「え、全然そうは見えないです!」

関連記事  【ダイソー・セリア】100均の履歴書は使える?実際に購入して就職活動で使った体験談

その日の昼休み、私は鈴木を連れて例のダイソーに行きました。5年前に私が駆け込んだのと同じ店です。店内のレイアウトは少し変わっていましたが、ネクタイコーナーは健在でした。

鈴木は、100均ネクタイの種類の多さと価格に驚きながら、5本のネクタイを選びました。「これで550円って、信じられないです」と興奮していました。

「大切なのは、見栄じゃなくて実用性だよ。浮いたお金は、本当に価値のあることに使った方がいい」

私のアドバイスを、鈴木は真剣な顔で聞いていました。数ヶ月後、鈴木は業務に関する資格を取得し、「先輩のアドバイスのおかげで、資格取得にお金を使えました」と報告してくれました。

私の経験が、誰かの役に立つことができた。この事実は、私に大きな満足感を与えてくれました。

100均ネクタイの進化

5年間、100均ネクタイを使い続ける中で、商品自体の進化も感じました。

初期に買ったネクタイと比べて、最近のものは明らかに質が向上しています。生地の質感が良くなり、縫製も丁寧になりました。デザインのバリエーションも増え、トレンドを取り入れた柄も登場しています。

特に驚いたのは、2年前に見つけた「シルク風」の素材を使ったネクタイです。もちろん本物のシルクではありませんが、光沢感や手触りが従来の100均ネクタイとは一線を画していました。それでも価格は110円。企業努力の素晴らしさに感動しました。

また、最近では季節ごとの新商品も登場するようになりました。春には桜をモチーフにした柄、夏には涼しげな淡い色、クリスマスシーズンには遊び心のある柄など。「100均のネクタイでも季節感を楽しめる」という新しい発見がありました。

オンラインでも、100均ネクタイのレビューや活用法を紹介するブログやSNS投稿が増えていることに気づきました。私だけでなく、多くの人が100均ネクタイの価値を発見していることを知り、嬉しく思いました。

人生の転機と100均ネクタイ

5年目の春、私は社内で大きなプロジェクトのリーダーに抜擢されました。給料も上がり、経済的にはかなり余裕ができました。

周りからは「そろそろ良いネクタイ買ったら?」と言われることもありました。確かに、今の私なら1万円のネクタイを買うことも可能です。

しかし、私は100均ネクタイを使い続けることを選びました。

それは、ケチだからではありません。100均ネクタイが私にとって、「初心を忘れない」ための象徴だからです。

新社会人として苦しかった時期、経済的に追い詰められていた時期、100均ネクタイは私を支えてくれました。そして、「見栄よりも実質」「高価よりも価値」という大切な教訓を教えてくれました。

今でも毎朝、100均ネクタイを締める時、私はあの日の自分を思い出します。ダイソーに駆け込んだ焦り、初めて100均ネクタイをつけた不安、そしてそれが杞憂だったという安堵。

これらの経験が、今の私を作っています。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

/* */